壁紙編
壁紙の変色
Case1.木質系下地面への壁紙施工
原因:
リグニン・タンニン等の木質材由来の「アク」成分が原因
水に溶解する性質があり、壁紙表面へ移行する。
対策:
アクリルシーラー「シーラー100+」を事前に塗布する
アク止め剤:浸透し「アク成分」と反応・溶出を抑える。
(アク成分を合板内部に留めさせる)
Case2.通気性が高い壁紙(織物壁紙・紙壁紙)施工後の変色
原因:
パテ面と下地面との通気性違いにより経年変色
(パテ処理面以外が通気により粉塵等が付着変色)
パテ面と下地面のコントラスト差により透けて見える
対策:
パテ処理後に、全面着色シーラー「カラーシーラームヘン」を塗布
※パテ処理面と下地面との状態を均一とする
Case3.糊の拭き残しが原因の変色
原因:
黄変や汚れの付着により黒ずむ
糊の性質として水に溶けやすいため濡れ拭きのみでは、薄い糊層が残る-当初は透明の為目視できない
対策:
①濡れ拭きの段階では、希釈された糊が残ることになるため、水気が無くなるよう「乾拭き」を行う
②拭き取り剤「粉末アドキュット」を用い拭き取り性を向上させる
カビの発生
Case1.壁紙の下地や壁紙上で変色(発カビ)が生じる
原因:
「湯気」が発カビの主な原因
通気の悪さや他の要因により高温度状態が発カビの原因
対策:
①カビ取り剤「Newマスティーカビトリ」でカビを除去・乾燥させる
②防カビ剤「マスティーS・8」を下地に塗布し防カビ処理する
③壁紙用接着剤に防カビ剤「Newパワーマスティ」を添加する
防カビ:カビの繁殖を抑えるーカビ自体は残る
カビ取り剤:既存カビを殺すー持続性は無し(防カビ性はない)
カビ発生の条件
- ①菌の存在
- →胞子が通常空気中に含まれる
- ②栄養分
- →プラスチックでも栄養になる
- ③温度
- →人が生活する環境と同じ
- ④酸素
- →人が生活する環境と同じ
- ⑤湿度
- →高湿度を好む・・・工夫可能
- ⑥時間
- →定着までに時間・・・工夫可能
湿気対策が重要・・・不可であれば再発リスク ー防カビ剤は永久的に効力を持つものではないー
ジョイント部のクラック対策(再発防止)
Case1.横目地・ドア枠廻りで壁紙のミミズ腫れやクラックが繰り返し発生
原因①:
動く下地
固定不足や躯体自体の変形により動きが生ずる下地
対策:
対応困難(躯体の動きを止める下地調整剤無い)
動きの程度が微小であれば耐衝撃性製品で可能性あり
原因②:
木下地・異種下地(石膏ボード・合板のジョイント等)
木下地の吸水乾燥による伸縮・タワミが原因・・・固定は必須
対策:
耐衝撃性製品で対応(ある程度伸縮に追従)
原因③:
振動のかかる下地
ドア枠廻り・窓枠廻り(高気密化に伴いドア開閉で振動)
対策:
耐衝撃性(クラック対策)製品で対応
コーキング個所の不具合
Case1.コーキング部分の変色や切れが発生する
原因:
コーキング部分の切れ→下地の動き
コーキング部分の変色→汚れの付着・ブリード現象
対策:
コーキングの選定(適材適所)
ジョイントコークA:高柔軟性で切れにくい/ブリードあり
ジョイントコークB:ノンブリードでベタつきが少ない/柔軟性中庸
特に壁紙平場ジョイントについては「ベネット」を推奨
柔軟性の低いコーキングでは下地の動きに追従せず切れが発生
(下地の動きがコーキング切れの要因→動かないことが本来の対策)
壁紙の目透き・剥がれ
Case1.壁紙ジョイント部分で目開き・剥がれが発生する
原因:
クロス糊の薄めすぎ
下地調整の不足・選定ミス
重ね切り施工での下地切断
間接着部分への施工(塗装上)
対策:
標準希釈率での施工
下地種類。状態に応じた下地調整を行う
下敷きテープを用いなるべく下地を切らない施工
下敷きテープの選定→「MOMOKO」推奨・・・糊がとられにくい
塗装ハミ出し部分は削り取り除去する→「ジョイントコーク」を先付け
壁紙施工に役立つ豆知識
接着剤の除去方法
①接着剤を付着させないよう養生が基本(横方向もカットテープ)
②付着した接着剤は水に溶かした「粉末アドキュット」拭き取りが効果
③1・2度スポンジでふき取るだけだは不完全
※マイクロファイバータオル使用や乾拭きの使い分け等職人様意識差大
変色下地基材面(木下地)の見分け方
①「ジョイントコークA(ホワイト)」を実際の下地基材面に塗る
②一昼夜放置し、着色している場合は変色リスクの下地→アク止め
シーラー・捨て糊処理の選定
①実際の下地基材面直接シーラー・捨て糊を塗布、乾燥させる
②乾燥確認後、クラフトテープを張り付け勢いよく剥離する
③塗工フィルムが下地に完全に定着していれば適切である目安