張り替え工事について
1 現場の調査
顧客の注文事項、現場環境や共同住宅では管理規約等を確認し、顧客との施工に関する基本的な打ち合わせが整った上で、主に次の事項について調査する。
- 部屋の配置関係
施工する部屋の家具や機器類の配置をみて、スケッチをしておく。顧客の了解が得られれば写 真撮影でも良い。また、他の部屋との関係も調べておく。 - 採寸
採寸は、実際にメジャーを当てて測る。寸法は細かい部分まで採り、展開図に記入しておく。 - 内装の状況
内装の状態、汚れ、傷み、老化の有無、及び、施工部分の下地の種類、状況を調査しできるだけ記録しておく。 - その他
顧客の注文に適う仕上げが可能か、法令面での問題が無いか、施工中の音・臭い等が問題になるかどうか等についても調査し判断する。
2 材料、施工等の変更
材料、施工方法又は工期の変更が必要な場合は、顧客にその旨申し出て協議し、顧客の指示にしたがう。
3 家具等の移動
- 施工現場に美術工芸品等がある場合は、その移動、保管は顧客の手で行って頂くようにする。
- コンセントの蓋、照明器具等は取り外し、損傷しないよう容器に入れるなどして注意して保管する。
- 家具等は部屋の中央部に移すなどして施工の空間を確保する。
4 養生
- 既成部分を保護するため適切な養生を行う。その方法は次表のいずれかによる。
種類 養生の概要 簡易養生 (1)既成部分を必要に応じて養生する。
(2)家具等は養生シートで覆い保護する。要部養生 (1)工事で接する壁等の既成部分はマスキングテープ等で保護し、床の工事で接する部分はシート等で養生する。
(2)家具等は養生シートで覆い保護する。本格養生 (1)工事で接する壁等の既成部分は、汚れ、傷等の恐れがないものを除き、シート等で覆い、マスキングテープ等による養生、床は全面 シート等で覆う等をする。 - 施工完了後は、壁紙仕上げ部分の損傷を防ぐために適切な養生等を行うとともに、過乾燥による支障を防ぐためおおむね48時間の養生(熟成)時間がとられるよう措置を講ずる
5 壁紙剥がし
既存の壁紙の剥がしは次表による。
種類 | 剥がし方の概要 |
---|---|
簡 易 剥 離 | 表面側を剥がし、層間剥離して下地に張り付いている裏打ち紙はそのまま残す。残した紙の接着不良部分を剥がすことも含む。 |
標 準 剥 離 | 全部剥がして下地基材面を露出させる。下地に張り付いて残っている紙は、水を塗って濡らして剥がす、あるいは、壁紙剥がし機を用いるなどし て剥がす。 |
特 殊 剥 離 | 壁紙、または、内装の老化などにより、壁紙がチップ状になって剥がれるなど、剥がしにくいものを、手間をかけて全部剥がす。 |
6 下地の補修
下地ボード類に破損などがある場合は、同じ厚みのボード類を埋め込み取り付けるなどして補修する。
7 下地調整
下地調整の方法は、既存の壁紙を剥がした状態と、張る壁紙との関係をみて決めるが、その概要は次表下地調整の方法による。
壁紙が要求する平滑度 | 剥がしの種類 | パテサンダー掛け | シーラー塗布 | 袋張り | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
2級 | 簡単剥離 | 1~2回 | なし | 〇 | 防火仕上げでは、簡易剥離と袋張りはできない パテかいはごく平滑にする |
標準剥離 | 2~3回 | 塗布 | 〇 | ||
特殊剥離 | 総パテ | 塗布 | 〇 | ||
3級 | 簡単剥離 | 1~2回 | なし | 〇 | 防火仕上げでは、簡易剥離と袋張りはできない パテかいは十分平滑にする |
標準剥離 | 1~2回 | 塗布 | 〇 | ||
特殊剥離 | 2~3回 | 塗布 | 〇 | ||
4級 | 簡単剥離 | 1~2回 | なし | 〇 | 防火仕上げでは、簡易剥離と袋張りはできない パテかいは平滑に仕上げる |
標準剥離 | 1~2回 | 塗布 | 〇 | ||
特殊剥離 | 1~2回 | 塗布 | 〇 |
8 壁紙張り
壁紙張りの各工程は、第四章壁紙張りの各項に準ずる。
9 家具等の戻し
施工後清掃、跡片づけした後、取り外した器具や家具等は元 の位置に戻す。